最近は、乗用車以外でも大手物流業者でEV (電気自動車) の導入が進み、街中で見かけることも増えてきました。

今後、物流業界でも環境負荷軽減のためには、EVの導入は避けられません。

この記事では、EV導入のメリットや大手物流業者のEV導入例を紹介します。

物流業界がEVトラックを導入するメリット

物流業界がEVを導入するメリットは意外と多いですが、とくに導入後の恩恵は以下の3つになります。

CO2排出量削減につながる

日本国内のCO2排出量は、1位が工場などの産業部門が24.1％を占めていますが、2位には自動車などの運輸部門が17.0%ほどとなっています。

日本の物流は、内燃エンジン搭載のトラックなどがメインなので、EVに切り替えることでCO2排出量削減につながり地球温暖化防止に貢献できるでしょう。

出展：2020年度（令和２年度）の温室効果ガス排出量（速報値）について　より一部引用

導入後のコストを抑えられる

EVは導入後のコストの安さも魅力で、ディーゼルエンジンと比較してもランニングコストを抑えられます。

三菱キャンターの場合、1kmあたりの燃料コストは約16円 (カタログの燃費8.7km/l、軽油価格140円で計算) ですが、EVのeキャンターの場合だと、1kmあたりの電気コストは約9.0円 (カタログの電費1.92km/kWhl、電気料金は東京電力の基準市場価格17.44円で計算) と43.7%もコストが抑えられる仕組みです。

ほかにもEVにはオイルやファンベルトをチェックする工程や交換も必要ないので、運行前点検の業務負荷を減らせるだけでなく、オイル代も必要なくなります。

ドライバーの負担が少ない

EVにはエンジンがないので、騒音や振動をほとんど感じることなく、快適な移動が行なえます。

また、騒音が少ないということは、早朝や深夜の配送でも周りの環境に迷惑をかけることが少ないのもメリットのひとつです。

使用車両や環境にもよりますが、クーラーを稼働して停車していても、バッテリーの消費量は1時間当たりおよそ1kWhほどとなっています。

停車状態ならエアコンフル稼働で半日以上はバッテリー切れの心配はないので、荷待ちの際でも安心して空調を使用できるのは嬉しいポイントです。

大手物流会社のEVトラック導入事例

出展：ヤマト運輸公式　国内初、量産型国産小型商用BEVトラック500台を導入―より一部引用

最近ではEVのコストが見直されて、近距離配送がメインですが各物流会社でも導入が進んでいます。

大手物流会社2社での導入事例を紹介します。

ヤマト運輸：小型商用EVトラック「日野デュトロZEV」を順次導入

ヤマト運輸では、2030年までにEV20,000台を目標に小型商用EVトラック日野デュトロZEVを首都圏を中心に導入しています。

日野デュトロZEVは、ラストワンマイルを快適に行えるよう開発されたEVトラックで、マフラーなどの排気装置がないため、床面地上高は400mmを実現し、荷物を持ったままでも乗降できます。

また満充電状態では150kmの走行が可能で、近距離配送は問題なくこなせるでしょう。

日本郵便：配送用軽EV「三菱ミニキャブ・ミーブ バン」を導入

日本郵便では、事業用軽貨物自動車を配送用軽EVの三菱ミニキャブ・ミーブ バンに切り替える発表をしました。

2025年までに軽貨物車両を12,000台、二輪車も21,000台をEVに切り替える見込みで、最終的には計113,000台を電動化する予定です。

三菱ミニキャブ・ミーブ バンは、軽規格とは思えないほどのトルクで坂道でも余裕を持って走行できます。

また、満充電では133kmほどの航続距離なので、地域に密着した配達なら問題なく対応できるでしょう。

まとめ

EVトラックが普及することで、地球温暖化に貢献するだけでなく、導入後のコスト削減やドライバーの労働環境改善など導入メリットは大きいといえます。

ただし、航続距離の短さや充電設備のインフラなどを考えると、ラストワンマイルのような近距離輸送から採用するのが望ましいです。

今後、航続距離の改善やバッテリーのコスト削減が実現すれば、中長距離の配送でも活躍することでしょう。