度重なるコスト高に直面している物流業界ですが、2023年に入りコスト改善に取り組んでいます。

代表的な施策に取り上げられているのが値上げで、急激なインフレに対応すべく各社対応しました。

この記事では物流コスト高騰の要因と物流業界の値上げ状況について解説していきます。

物流コスト高騰の要因

物流コストが高騰する要因は多数ありますが、近年で影響が大きなものは以下になります。

燃料費の高騰

2020年頃から猛威をふるった新型コロナウイルスがひと段落して、世界経済が回復基調に向かい原油の需要が高まってきました。

そこにロシアのウクライナ侵攻が起こり、原油の供給が不安定になり高騰が続いています。

ほかにも円安の影響もあり軽油の小売価格は2020年9月は1Lあたり115.8円でしたが2023年1月には148.3円にまで値上がりしています。

また燃料費以外でも保管費や梱包費などの高騰も物流コストを押し上げる要因となっています。

人件費の高騰

人件費の高騰は物流業界以外でも問題となっており、その要因は人手不足によるものです。

理由のひとつにECサイトなどのネットショップの需要増に伴い、小口配送の増加が主な要因です。

そのため荷物を運ぶドライバーが、慢性的に不足していることがあげられます。

またドライバー不足のため、労働環境が過酷なことも散見され雇用の離職率が上がる傾向になっています。

 

各物流会社の値上げ状況

物流業者も2023年よりサービスの値上げが開始されます。

大手各社の値上げ状況や物流会社による値上げ要請の割合は以下の通りです。

DHLジャパン：2023年1月よりサービスの約6%の値上げ

DHLジャパンでは国際クーリエを含むサービス全般を2023年1月より、約6％値上げとなりました。

値上げの理由としては、今後のインフラ整備やサービス向上が目的とされています。

佐川急便：2023年4月より宅配便の運賃を約10％値上げ

佐川急便ではエネルギー高騰や労働環境改善のため、2023年4月より最大で10％ほどの値上げとなりました。

具体的には3辺合計が60cm以内の『60サイズ』は880円から970円に3辺合計が140cm以内の『140サイズ』は1,958円から2,100円となります。

※どちらも飛脚宅配便　関東→関西

ヤマト運輸：2023年4月より宅急便の運賃を平均で10％値上げ

佐川急便に続いて、ヤマト運輸でも2023年4月より宅急便の運賃を値上げすることになりました。

値上げの理由は、佐川急便同様にエネルギー価格の上昇と雇用確保のためとされています。

ヤマト運輸では運賃の値上げ率にばらつきがあり、宅急便で最小サイズの『コンパクト』では610円から650円になり40円のプラスですが、最大の3辺合計が200cm以内の『200サイズ』になると2,840円から3,720円になり880円のプラスになります。

その他の物流会社の値上げ要請の割合

ほかに大手以外でも輸送費のコスト適正化を行なうために、値上げ交渉に取り組む企業が増加傾向にあります。

公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会の2022年7月から11月にかけて実施したアンケート調査によると７割以上の企業が値上げ要請をおこない、そのうちの９割以上が要請に応じたとの発表がありました。

日本ロジスティクスシステム協会物流コスト調査報告書【速報版】より引用

https://www1.logistics.or.jp/Portals/0/resources/Cost/cost_report_20221223.pdf

 

まとめ

この記事では物流業界のコスト高騰の要因と物流会社の値上げ状況について解説してきました。

燃料費や人件費の高騰は想定以上に進み、もはや企業努力だけでは対応しきれないのが現状です。

また交渉が順調に進んでいるのは元請け側であり、下請け側までなかなか回ってこない現状もあります。

今後も配送サービス向上のため、粘り強い交渉は必要不可欠といえるでしょう。