Amazonを代表するECサイトの需要拡大に伴い、黒ナンバーの軽自動車をみかける機会が増えたのではないでしょうか。

しかし、需要に見合ったドライバーの確保が追いつかないため、2022年10月から貨物軽自動車運送事業法が改正されました。

法改正により軽乗用車でも配送ができるため、新規参入のハードルが下がり、人手不足も少しは解消される見通しです。

この記事では、貨物軽自動車運送事業法の改正内容について解説していきます。

軽乗用車で荷物の配送が可能に

今までは、貨物軽自動車運送事業法にて配送を行うには、軽貨物自動車、125cc未満のバイクと自転車に限定されていましたが、2022年10月から5ナンバーの家庭用軽乗用車も対象範囲を広げることが、国土交通省より発表されました。

これにより、物流業界の中でもとくに人手不足が慢性化している、小口配送部門で緩和される見通しです。

ただし、積載できる荷物の制限があり、乗車定員分×55kgと定められています。

4名乗車の家庭用軽乗用車の場合だと、最大で165kgまでの積載が可能です。

一般的な軽貨物自動車の最大積載量は350kgとなっているので、最大積載量は少ないといえるでしょう。

 

事業用ナンバー (黒ナンバー) の登録は必須

家庭用軽乗用車で荷物の配送は可能になりましたが、乗用車枠である黄色ナンバーの状態で配送業務を行うことは違法になります。

家庭用軽乗用車で荷物の配送を行うには、事業用ナンバー (黒ナンバー) の登録 (開業届) が必要です。

軽貨物運送業の事業用ナンバーは届出制なので、必要書類に不備がなければ即日発行も可能なので、開業までのハードルが低いのは大きなメリットといえるでしょう。

ちなみにトラックなどの緑ナンバーの運送事業は、開業が許可制なのでさまざまな審査要件があり時間がかかります。

具体的な要件は、資本金の確認や規定のトラック台数の確保、整備管理者や運行管理者の確保など多岐にわたります。

その点、軽貨物運送の開業は車両と駐車場が確保できていれば問題ないです。

ほかにも開業には営業所や休憩所の登録が必要になりますが、自宅でかまいません。

必要な費用も1,600円となっていて、手続きも難しくないので初めての方でも問題ないでしょう。

事業用ナンバーは、登録地域の運輸支局に届出を行い、必要書類を受け取ってから軽自動車検査協会にナンバーを発行してもらいます。

 

事業用ナンバー (黒ナンバー) 取得のメリット、デメリット

開業までのハードルが低い黒ナンバー取得ですが、それぞれメリット、デメリットがあります。

事業用ナンバー (黒ナンバー) のメリット

黒ナンバーの取得メリットとしては税金の安さがあげれます。

黄色ナンバーとの金額の比較は以下の通りです。

登録区分	重量税	自動車税
家庭用軽乗用車 (黄色ナンバー)	6,600円※	10,800円
事業用軽貨物車 (黒ナンバー)	5,200円※	5,000円

 

※新規届けから13年経過していない車

毎年支払う自動車税が事業用軽貨物車の場合は5,000円となり、家庭用軽乗用車の半額以下の金額で済みます。

また、車検毎に支払う重量税も事業用軽貨物車のほうが1,400円割安となります。

事業用ナンバー (黒ナンバー) のデメリット

黒ナンバーの取得デメリットとしては任意保険料金の高さです。

自家用車と比べて運転する時間や距離が伸びるため、事故のリスクが高まるためです。

また黒ナンバーの任意保険は、自家用車のような年齢や無事故率による特約割引が少ないこともあり割高になっています。

保険料は家庭用軽乗用車と比較しても月額で10,000円以上は高くなる見込みです。

まとめ

この記事では、2022年10月より改正された軽貨物自動車の自由化について解説しました。

家庭用軽乗用車でも黒ナンバーが取得できるので、人手不足の解消につながるかもしれません。

また登録自体の難易度も高くないので、初めての方でも取得可能です。

ただし、宅配サービスを効率的に行うためには、それなりの経験とスキルが必要で片手間で稼ぐのは困難といえます。

保険料も割高になるので、片手間で配送業界に参入するのは注意が必要だといえるでしょう。