普及が進み始めているEVトラックですが、導入のハードルとなっているのが充電スポットの拡充です。

数年前までは自社の敷地内で充電する方法が一般的でしたが、近年ではさまざまな充電施設が普及し始めています。

この記事では、EVトラックの充電問題に関する情報をお伝えしていきます。

EVトラックにはどんな種類がある？

出展：ヤマト運輸公式　国内初、量産型国産小型商用BEVトラック500台を導入―より一部引用

世界中で普及に向けて開発が進んでいるEVトラックですが、普及率はまだまだ低く取り扱い車種も少ないのが現状です。

軽商用車から小型トラックまで、日本国内でおもに普及している3車種を紹介します。

 

日野デュトロ Z EV

「デュトロ Z EV」は、日野自動車の小型トラック デュトロをベースにしたEVトラックです。

ボディサイズは最小の標準車をベースにし、バッテリーサイズは1種類のみとなります。

航続距離は満充電で約150kmまで走行可能です。

デュトロ Z EVは、2022年8月から首都圏を中心に500台導入されました。

三菱ふそう eCanter

小型トラックCanterの電気自動車バージョンが「eCanter」です。

ボディサイズはショートホイールベースから超超ロングホイールベースの3種類、バッテリーもS、M、Lの3種類になります。

航続距離はLサイズのバッテリーの満充電で約324km走行可能です。

なお、eCanterも2023年9月より、ヤマト運輸に約900台の導入が開始されています。

三菱ミニキャブ EV

「ミニキャブ EV」は、今回の3車種のなかで唯一の軽規格であるミニキャブをベースにした、EV商用バンです。

ボディサイズやバッテリーサイズは1種類のみで、満充電で180kmの航続距離を誇ります。

2024年7月には日本郵便の集配用車両としてミニキャブ EVを3,000台受注することが決定しました。

EVトラックの充電方式

現在、日本国内のEVトラックには2種類の充電口があり、普通充電と急速充電に分けられます。

それぞれの充電方式の特徴について解説していきます。

普通充電

普通充電は、おもに200Vコンセント（16A）を用いて充電することを指します。

一般的な家庭用コンセントは100Vですが、初期設備費用の負担も少なく簡単な工事で導入できることもあって、200Vコンセントを増設している事業所も増えてきました。

200Vコンセント（16A）を用いた場合は、1時間あたり約3.2kWの充電が可能です。

例えば日野デュトロ Z EVの場合だと、バッテリー容量が40kWなのでバッテリー容量0％から充電すると約12.5時間かかる計算になります。

ただし、バッテリー容量0％は現実的ではないので、終業時間後に充電しておけば始業時には満充電になっていることがほとんどだといえます。

 

急速充電

急速充電は、高速SAや自動車ディーラー、コンビニなどに設置されている充電器で大量の電力を供給できます。

変換装置をはじめ様々なシステムを搭載しているので、装置自体が大きく高価なこともあり、一般家庭や事業所等でも導入コストが高いといえるでしょう。

急速充電は出力電力が充電器によってまちまちで、30kW〜150kWとかなりの差異があります。

充電時間は1充電あたり最大で30分が多く、平均的な急速充電器40kWのタイプで日野デュトロ Z EVを充電すると、30分で50％ほど充電できる仕組みです。

もちろんEVトラックにも端子が備わっていますが、ほとんどの充電設備では商用車の充電不可になっているのが現状です。

近年増えてきた商用車の急速充電施設

これまで商用EVは一般的な急速充電器での充電は負荷とされていましたが、近年ではEVトラックが増えてきたことで対応可能な充電設備も増えてきました。

これまでは乗用EVのみ可能だったコンビニやサービスステーションの一部をEVトラックにも開放しつつあります。

また佐川急便を傘下に持つSGホールディングスグループでは、最大全長10mのEVトラックにも利用可能な共用充電ステーションを設置し、EVトラックの普及拡大に務めるとの発表がありました。