事業拡大や競争力激化のため、西暦2000年以降から自社の業務の一部を外部に委託（アウトソーシング）する企業が増えてきました。

物流業界も例外でなく、とくに近年ではEC市場の拡大に伴い、アウトソーシングする企業が増加傾向にあります。

この記事では物流アウトソーシングのメリットやデメリットについて解説していきます。

物流アウトソーシング（外部委託）とは

物流アウトソーシングとは、自社の行っている物流業務を外部の企業にすることを委託することを指します。

アウトソーシングすることで、従業員などの人的資本や倉庫や車両などの物的資本の軽減ができることもあって、現在では3割ほどの企業が導入しています。

とくにスーパーマーケットやコンビニなどの小売店では大多数で導入済みということもあり、今後もアウトソーシングは拡大傾向にあるでしょう。

アウトソーシングできる業務内容は多岐に渡り、主に代表的なものは以下になります。

• 入庫・検品
• 保管・在庫管理・品質管理
• ピッキング・梱包
• 配送
• 返品回収
• 代金回収
• カスタマーサービス

業務内容はすべて委託することも可能ですが、一部のみを委託することも可能です。

このような物流業務を委託する形態を「3PL」といいます。

3PLは過去の記事でも紹介していますので、参考にしてみてください。
物流・運送業界でよく聞く3PLとは？特徴からわかりやすく解説

ほかにも近年ではEC市場の拡大に伴い、フルフィルメントサービスの導入が増加傾向にあります。

フルフィルメントとは、ECサイトで購入した顧客に対して、商品の受注から商品の発送まで一連の業務を一括で請け負うサービスです。

もっとも有名なのは、FBA（フルフィルメント by Amazon）でAmazonが出品者に代わって業務を代行してくれるもので、企業のみならず個人事業主の参入も活発になっています。

物流アウトソーシングで得られるメリットとは

業種を問わず、その恩恵を受けられるアウトソーシングですが、いったいどのようなメリットがあるのでしょうか。

物流業界がアウトソーシングすることで得られるメリットを2つ紹介します。

コストとリスクの削減が可能

物流業界が業務をアウトソーシングすることで、コストの削減が期待できます。

まず、物流を外部に委託することで輸送費や保管費、人件費などのそれぞれのコストが明確になり、事業計画が立てやすくなります。

また外部に委託することは、物流のプロフェッショナルが業務を遂行してくれることになるので、コストカットにも繋がります。

ほかにも、人手不足、商品の破損など物流業務全般におけるさまざまなリスクを回避できるのも魅力のひとつといえるでしょう。

業務効率を高められる

ほかには、アウトソーシングすることで業務負荷が減少し、ほかの業務に注力できます。

一般的に商品を運ぶサービスは、多くの人手と資材を要します。

その物流にかかる業務負荷を営業や広告に集中することで、さらに事業拡大につながることでしょう。

また、商品やサービスのニーズが変わりやすい昨今では、提供側の柔軟な対応が不可欠です。

その点、アウトソーシングなら臨機応変な対応も可能といえるでしょう。

それ以外にも正確さとスピードが求められる近年の物流環境だと、自社での対応は困難な場面も生じます。

また、繁忙期でもビジネスチャンスを逃さずに柔軟に対応できるメリットもあります。

物流アウトソーシングで生じるデメリットは

コストやリスクの削減につながるアウトソーシングですが、一方でデメリットも存在します。

デメリットとして挙げられるのが、細かい対応を期待することが難しいことです。

外部に委託する以上、対応時間や荷主側が希望するサービス基準まで依頼できない可能性があります。

もし可能だとしても、要望がプラスされるごとに費用もプラスされることは不可避です。

また、トラブルが起こった際に責任の所在が、不透明になりやすいこともあげられます。

そのため、トラブルが起きたときの対応や保証を事前にすり合わせておく必要があるでしょう。

まとめ

この記事では物流業界におけるアウトソーシングのメリット、デメリットについて解説しました。

いまでは多くの企業が導入し、メリットの多いアウトソーシングですが、契約については慎重に行なわないと、逆に非効率な結果を招いてしまいます。

自社の希望するサービスに対応しているか、費用対効果が得られるのかを分析することが重要といえるでしょう。