ChatGPTの登場で注目を集めているAIですが、物流業界でも応用されてさまざまな問題の解決に役立っています。 

とくに倉庫業務における画像認識技術の向上が目まぐるしく、人件費の削減や検品の精度向上など大きな役割を果たすようになりました。

この記事では、AIを活用した画像認識の仕組みと実際の導入事例について解説していきます。

AIが行う画像認識の仕組み

画像認識とは、画像に映っている大きさや色、形、または文字などを認識する技術のことを指します。

人間なら経験を用いて物体が何であるか認識できますが、コンピューターはピクセルの集合体としか認識できません。

そこでプログラムを介して物体の特徴を割り出し、類似データと照らし合わせて画像データの認識を行う仕組みです。

従来までの画像認識の仕組みは機械学習によるものがほとんどでした。

大量の画像データをコンピューターに覚えこませて、類似したデータと照らし合わせることで、物体を認識する仕組みです。

これにより、対象物が画像内に存在するかの検証を行うことが可能となります。

そして、さらなる精度向上のきっかけになったのが2012年に登場したディープラーニングです。

ディープラーニングは、人の手を介さずにコンピューター自体がより多くの情報を学習することで、複雑な画像処理を行えるようになりました。

ディープラーニングのおかげで物体の形以外に文字などの認識ができるようになり、物流業界でも導入される用途が増えてきています。

物流業界内で導入された画像認識技術

画像認識技術の普及や精度向上のおかげで、物流業界にもさまざまな影響を与えています。

とくに搬入時や出庫時の検品作業やピッキングを画像認識による自動化を行うことで、人的なミスの削減や人件費の削減に貢献しています。

SMITH&VISION 株式会社の「ラベ郎<Labelo>」では、スマートフォンやタブレットのカメラ機能で荷物を読み取ることで、製品名、ロット番号、消費期限、生産日、生産者といった情報をデータとして自動取得し、システムに登録できるようになります。

対象物としては、ダンボール以外にも缶や紙袋、ポリタンクのラベルも識別できるので、さまざま商品の取り扱いが可能です。

また、入出荷のダブルチェックに対応しているので、ミスのリスクを大幅に軽減できます。

出展：SMITH＆VISION株式会社 公式 非定型AI-OCR商品管理システムラべ郎<Labelo>より一部引用

また、サントリーロジスティクス株式会社では、富士通と共同開発したフォークリフト操作のAI判定システムを導入し、安全運転に努めています。

フォークリフト上部に設置されたドライブレコーダーの動画を基にAIが映像を解析し、危険運転を判断します。

とくにリフト事故の要因となっている「ながら操作」「静止確認不足」「一時停止確認不足」を検知するだけでなく、安全係数として可視化することで事故の削減が期待できるでしょう。

ドライバーの評価にバラツキがなく、公平性の高いフィードバックが得られることで、より安全な運転に努めることができます。

現状では、ドラレコで録画された映像を基に事故防止の啓発に努めていますが、今後は警告音を利用することでリアルタイムで安全運転評価の判断ができ、さらなる危険運転防止に努める予定です。

出展：富士通株式会社 サントリーロジスティクス フォークリフト操作のAI判定システムより一部引用

ほかにも株式会社マイクロ・テクニカでは、3Dビジョンとディープラーニングを組み合わせることで、パレットに積まれた袋の荷下ろしをロボットで可能にするシステムなども実用化されています。

いままでは難しかった、重なり合う薄い袋や充填率の低い袋にも対応しており、手作業で行っていた荷下ろしもロボットが対応することで人件費の削減につながるでしょう。

出展：株式会社マイクロ・テクニカ AI袋デパレシステムより一部引用

まとめ

この記事では、画像認識の仕組みや物流業界の導入事例を解説しました。

近年のAIを活用した画像認識技術は、人的ミスを削減するだけでなく、人件費や設備投資の削減にも繋がります。

AIを導入した物流業界の取り組みは、倉庫業の画像認識以外に配送ルートや積み込みの効率化など、さまざまな分野に導入されています。

今後は自動運転の技術が実用化されればさらなる自動化が進み、人手不足の大きな解消につながるでしょう。