近年、耳にすることが増えてきた『IoT』ですが、一般家庭のみならず企業でも導入が加速してきました。

モノとインターネットをつなげることにより、業務負荷軽減の期待ができるので物流業界でも活発化しています。

この記事ではIoTとはどういったものなのか、また導入するメリットについて解説していきます。

IoTとは

IoTとはInternet of Thingsの頭文字をとった言葉で、これまでインターネットに接続されていなかったものが、ネットワークを介して情報交換する技術を指します。

情報交換によって離れたモノの状態の把握や操作することが可能で、遠隔地でも活用できるのが特徴です。

家電などでは外出先からエアコンのON・OFFや設定温度の調節ができたり、スマホと冷蔵庫との連携で食材の在庫や賞味期限を管理できます。

一般家庭のみならずさまざまな分野で応用されていて、医療業界ではウェアラブルデバイスを患者に装着させることで遠隔地でも健康状態が把握できる仕組みです。

もちろん物流業界でも倉庫業から運送業まで幅広い業種でIoTは活用されています。

なぜIoTを導入するのか？物流業界の課題

物流業界では以前から抱える課題があり、大きく分けて2つあります。

配送ドライバーの労働力不足

物流業界の中でも配送ドライバーの人手不足は以前から常態化していて、拘束時間が長いことで若者の定着率が低い状態が続いています。

また、育児休業や女性専用の更衣室やトイレなどのインフラが整備されていないことが多いこともあり、女性の参入も進まないのが現状です。

さらに2024年には配送ドライバーの時間外労働が減少し、従来の年間時間外労働1176時間から、2024年4月以降は960時間まで削減されます。

このため年間で運べる物量も制限されて、とくに長距離輸送では大きな問題になっています。

小口配送の増加

近年のECサイトの増加に伴い、小口配送の増加が加速しています。

小口配送は個人宅の配送がメインで、受注から仕分け、さらに梱包から発送までの工程がより複雑で企業への大口配送に比べると多くの手間がかかります。

またECサイト同士の競争も激化しているため、配送スピードも求められることが多く、翌日発送などのサービスも当たり前のようになってきました。

人手に余裕があるならサービスの向上は魅力的ですが、人手不足の状態では配送ドライバーの負担が増えるばかりです。

ほかにも小口配送で問題になっているのが不在による再配達で、配送効率や生産性が下がりかねません。

またCO2排出量の観点からもコストがかかってしまうのが現状です。

国土交通省：令和３年度 宅配便等取扱個数の調査及び集計方法より一部出展

 

物流業界がIoTを導入するメリット

配送車両の最適化が図れる

従来は運行管理者などの配車係が担当していましたが、判断ミスが起こることもあり業務に支障が出る可能性もあります。

そこで配車管理を自動で行なえるTMS (配送管理システム) を導入する企業が増えてきました。

TMSでは運行スケジュールに基づき、トラックの必要台数や走行ルートを事前に割り出すことが可能です。

各車両の積載状況や積み荷の温度管理もできるので、無駄がない配送が行なえコスト削減につながるでしょう。

倉庫の自動化が構築される

倉庫業においてもIoTの恩恵を受けることが可能です。

庫内への入庫から出庫までの業務を一元管理をコンピューターが行なうことにより、人件費の削減につながります。

それだけでなく物流業界のなかでも災害事故の多い、荷物の落下事故やリフトの接触事故も減らせるので費用対効果が高いのではないでしょうか。

取り扱う荷物をパレット代車やシャトル代車が自動で行なうだけでなく、人為的なミスもほとんど皆無に近いので業務効率向上にも期待できます。

 

まとめ

物流業界では2024年問題が間近に迫っていることもあり、IoTの導入に向けた業務の効率化が急ピッチで進められています。

人の手で業務を行うと能力差が生じやすく、ヒューマンエラーの要因にもなるのでIoTの導入は多用すする業務でのミス防止にも役立ちます。

完全IoT化は莫大な費用が掛かるので、できる範囲で取り組むのが成功のカギとなることでしょう。